『君の名は。』プロデューサーが今明かす“これはとんでもない作品になる”と震えた瞬間

2022.10.28 07:00

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10月28日は、11月11日に公開される新海監督の最新作『すずめの戸締まり』を記念して、社会現象を巻き起こした空前の大ヒット作『君の名は。』が登場した。
夢の中で“入れ替わる”少年と少女の恋と奇跡の物語は、新海誠監督の描き出す繊細な世界観と、予想を覆すストーリー展開が大きな反響を呼び、歴代興収5位(邦画歴代3位)となる250. 3億円を記録している。

本作で新海監督とタッグを組んだ映画プロデューサーの古澤佳寛さんは、映画作りを一番近くで見てきた人物。そんな古澤さんが今だから話せる名作誕生の舞台裏を語った。

海外でも各国で大ヒットを記録し、国内外の映画賞も席巻

【“これはとんでもない作品になるんじゃないか”と予感】

古澤さんは製作過程で既に大ヒットの予感がしていたと振り返る。「一番最初に監督から企画書が上がったのが2014年7月。そこから脚本の打ち合わせをして、出来上がった脚本を基にVコンテ(ビデオコンテという意味で、紙に描いた絵コンテを実際の映画と同じ尺の動画にして監督自身の声でセリフを入れたもの)を作るのですが、最初にそのVコンテを見た時の感動が忘れられなくて、ほんとに泣けて、“これはとんでもない作品になるんじゃないか”という予感はしていました」。

【ヒットメーカー・新海誠の魅力】

そもそも古澤さんが新海監督の作品に携わるきっかけは2013年に公開した新海監督の『言の葉の庭』だという。「配給を東宝でやらせていただいた時に、私が配給の窓口をさせていただいて、“次に企画を上げるときはゼロから一緒に映画を作ろう”となって、『君の名は。』の製作に参加することになりました」。

新海監督の魅力について古澤さんは「いろんな人の意見を聞く。監督は孤独な時間が多くて、特に脚本を書いているときは一人で試行錯誤して、それをプロデューサーを含めたみんなに見せる。僕らは好き勝手を言うわけです。“ここは面白くないんだけど”“このキャラクターはいないほうがいいんじゃないか”と言うんですけど、監督はフラットにみんなの意見を聞く。取捨選択もご自身の中で明快にして、議論を尽くして作品を前に進めていくので、風通しの良いチームで作品の完成度を上げる作業ができる。出来た監督だなって」と語っている。

【『君の名は。』の圧倒的な映像美】

本作の魅力の一つとなっているのが、圧倒的な映像美とスケール。「これはもう、監督の得意技と言いますか。例えば新宿のシーンも、現実より美しく見せるために実際にはあり得ない光の入れ方をしていたり(する)。リアルよりもリアルに感じられると思います」。

RADWIMPSによる『前前前世』ほか主題歌が大ヒット

【実は主題歌は4つあった…!】

実は、『君の名は。』には主題歌が4曲あるという。
「歌が付いている楽曲を映画の中で4曲流すってなかなかないんですけど、その使いどころは、(音楽を担当した)RADWIMPSの野田洋次郎さんと監督がすごく議論を重ねて進めたので、歌詞と完全にマッチングしている。曲の使いどころについての議論は、2人のクリエイターが歌詞を通じてラブレターを交換しているような。お互いのクリエイター魂を僕らは見させてもらって、奇跡的な融合だと思っていました」。

【何回観ても楽しみ方が変わる映画】

『君の名は。』はどんな映画なのか…?「107分の中にとてつもない情報量というか、映像的にも伏線的にもSF的にもいろんなものを詰めているので、観れば観るほど“こうだったんだ”と分かる。監督も“5回も6回も観ても絶対に新しい発見がある”って。何度か観た人も、今回観たらまた考えが変わる。観る前に音楽を聴いて予習すればさらに楽しめるし、スピンオフの小説を読めばさらにストーリーの深みを感じられる。ぜひ何回も楽しんでいただきたい映画です」。

そして今回初めて観る人には「想像を超えた展開になるし、大きな感動が待っている。僕も作り手として、可能であれば記憶喪失になって初回の衝撃を浴びたい…と思うくらい最初は大きな衝撃があったし、ほんとに面白いと思った。まだ観ていない人がいたらほんとにラッキーなので、ぜひこのタイミングで観ていただきたい」と今までにない感動と衝撃で作品を堪能できると語った。

立花瀧と宮水三葉を演じたのは、神木隆之介と上白石萌音

【ストーリー】

千年ぶりとなる彗星の来訪を一か月後に控えた日本。山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は都会への憧れを強く抱きながら暮らしていた。
ある日、自分が東京に住む男の子になる夢を見た三葉は都会での生活を思いっきり満喫する。一方、東京の男子高校生・瀧も、山奥の町で女子高校生になった夢を見ていた。繰り返される不思議な夢。やがて二人は自分たちが入れ替わっていることに気がつく。
戸惑いながらも、残されたメモを通して状況を乗り切っていく2人。しかし、お互いの気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。三葉を探しに行く瀧だったが、辿り着いた先には意外な真実が待ち受けていた……

『君の名は。』(2016)
Huluデジタル配信中 https://www.hulu.jp/your-name
原作・脚本・監督:新海誠 作画監督:安藤雅司
キャラクターデザイン:田中将賀 美術監督:丹治匠・馬島亮子・渡邉丞
音楽:RADWIMPS
主題歌:RADWIMPS『夢灯籠』『前前前世(movie ver.)』『スパークル(movie ver.)』『なんでもないや(movie ver.)』
声の出演:神木隆之介/上白石萌音/長澤まさみ/市原悦子 ほか
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム

11月11日公開『すずめの戸締まり』公式サイト https://suzume-tojimari-movie.jp/

写真提供:©2016「君の名は。」製作委員会

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