綾野剛が全編裏声で熱唱する『紅』は、“ムチャぶり”から生まれた? 映画『カラオケ行こ!』裏話
2024.2.9 12:45【ZIP!×entax】
日本テレビ系 朝の情報番組『ZIP!』の地上波未公開シーンをお届けするコラボ記事『ZIP!×entax』。今回は映画『カラオケ行こ!』の舞台あいさつに登場した綾野剛への番組単独インタビューをピックアップ。X JAPANの『紅』を全編裏声で歌うことになった意外な経緯を語ってくれたほか、共演した16歳の俳優・齋藤潤の魅力を真摯に語った。
■“ムチャぶり”に応えて生まれた裏声歌唱シーン
映画『カラオケ行こ!』で描かれるのは、綾野演じるヤクザ・成田狂児(なりたきょうじ)と合唱部部長の岡聡実(おかさとみ / 演:齋藤潤)のコミカルな交流。“組”のカラオケ大会で最下位にならないため何が何でも上達しなければならない狂児が、聡実に歌のレッスンを頼むことから物語が展開していく。そんな狂児の勝負曲はX JAPANの『紅』。難易度の高いこの曲を、狂児ならぬ綾野がどう歌い上げるかが本作の見どころのひとつ。裏声を駆使して熱唱するシーンは1月12日の公開直後から話題となっている。
綾野は狂児の気持ちをこう代弁する。「狂児は圧倒的に『紅』を愛しているんです。かなり偏った愛ですけどね。本人はそもそも裏声で歌っていることに多分気づいていないんですよ(笑)。パーフェクトだと思って歌っているから、自然と裏声になっている。実際は裏声で歌う曲ではないんですけど…。それを聡実くんが、“『紅』は歌うんじゃない。叫ぶんだ”ってことを教えてくれる。狂児はとにかく『紅』を愛しているという、その一言に尽きる」
実は『紅』の“歌い方”に関しては、製作陣からかなりのムチャぶりをされたという。インタビューでは監督やプロデューサー、脚本家とカラオケに行った際の裏話を明かしてくれた。
「いろんなパターンを歌ってみてほしいと(言われた)。その時点でかなりムチャぶりなんですけど、そもそも『紅』を歌い上げることがほぼ不可能に近い、とても難しい楽曲。どうしようかなと思っていたときに“裏声が気持ち悪い”と言われるシーンがあるので、徹底して全編裏声でいきましょうと(決まった)。絶妙に音を外そうとか、こう(歌に)入っていくというか、だから『紅』を歌うときは必ず正装するっていう狂児のルールがあって、いちいちジャケット着ているんですよ」
ちなみに『紅』に関しては劇中で聡実も歌ったり、主題歌としてLittle Glee Monsterが歌ったりと、本作では三者三様の『紅』が楽しめる。このことについて綾野は「『紅』っていう楽曲が持っている寛容さというか、どの人たちが歌っても必ず『紅』にはなるんですけど、その人のオリジナリティーも同時に出てくる。改めてこの楽曲の素晴らしさ、名曲と呼ばれる理由をこの作品ですごく体感しました」と、同曲の高いポテンシャルを強く実感していた。
■共演した齋藤を「シンプルに尊敬」
今回共演した16歳の齋藤潤について聞かれた綾野は、「本当に素晴らしかったです」と第一声。続けて「今回いろんな困難があったと思うんです。関西弁が初めてだったというものあるし、この作品は聡実くんが主役といっても過言ではない。この大所帯のなか自分ひとりで引っ張っていかないといけない瞬間がいくつもあったと思うけど、その瞬間瞬間から目を背けず、立ち向かい続けた姿にとても感銘を受けましたし、シンプルに尊敬しています。大切な存在です」と、その若き役者魂に太鼓判を押した。
さらに、齋藤の“今後”についても「まずは彼自身の存在自体にオリジナリティーがあると思っているので、彼の思う道のりを、自信を持ってまっすぐ向かっていってほしい。こういう風になってほしいという本人以外の感情ではなく、自分の感情を大切にしながら、ひとつひとつの作品に向き合っていく姿を証人のように見続けていきたいと思います」としみじみ。終始リスペクトの姿勢で語っていた。