にしおかすみこ、今後は執筆業に活路 芸人としては「需要がない…」

2023.1.23 17:30

お笑い芸人のにしおかすみこが21日、著書『ポンコツ一家』(講談社)の刊行記念イベントを都内で開催。今後の“野望”について語った。

認知症の母(82歳)やダウン症の姉(49歳)と向き合ってきたにしおかが、介護の現実を率直に記した1冊。「4人家族なんですけど、母が認知症で、姉がダウン症で、父が酔っ払いで、私が一発屋という、私を入れて『ポンコツ一家』という本。日々の生活のこととかをつづっています」と著書を紹介し、「たくさん笑ってほしい(という思い)がありますので、悩んでいらっしゃる方とか、疲れていらっしゃる方が読んでくださったらうれしいなと思います」と呼びかけた。

著書を手に笑顔のにしおかすみこ

ムチを手にボンテージ姿でネタを披露する女王様スタイルで2007年に大ブレイクしたにしおかも、現在48歳。新型コロナウイルスの感染拡大により仕事が減ったことをきっかけに執筆しようと思い立ったそうで、「仕事が0になって無職になったので、家族分の生活費を稼ぎたかったというのが一つ。あと書くことが好きだったので、好きなことをしたいというのがあったのと、母と生活していて、頭と心と身体が健康であることが意外と私もそんなに長くはないんじゃないかなと思って、やれる時にやっておこうと思って。あと、4人家族で、3人の誰かが倒れた時に自宅でできる仕事があったらいいなと思って書きました」と明かした。

18日に刊行され、早くも重版が決定するなど、好調な滑り出しを見せている。にしおかは「もし爆売れしたら?」と聞かれると、「爆売れしてほしいと思っていますけど、正直なところは、母が本当にどうしてもダメな時に“入りたい”って言っている施設があるんですね。そこだと私も知っているお医者さんとか看護師さんとかもいらっしゃるので、私も通いやすいっていうのがあるんですけど、うちでは払えない金額なんです。ダメな時が来た時に施設という選択肢があるといいなと思うので、そこの資金になればいいなと、貯金したいと思っています」と現実を見据えて答えた。

本書はウエブサイトの連載を書籍化したもの。連載当時から大きな反響があったようで、にしおかは芸人仲間の反応について「最初に連絡をくれたのが、“残念”の波田陽区。メチャクチャうれしかったです」と具体名を明かしつつ、波田の連絡内容を確認されると「忘れました。ホントにごめんなさい。でも、褒めてくれたと思います」と話して取材陣を爆笑させた。

女王様キャラで2007年に大ブレイクしたにしおかすみこ

母親の状態については「地域包括センターの方に相談させていただいた時に“要支援1、2くらいかな”って最初は言っていたんですよ。でも、それが2020年か21年ぐらいのこと、私が実家に帰って初期のころのことで、今はもうちょっと進んでいるかなと思います」と報告。

今のところ施設などに頼る予定はなく、1人で家族を支えていく。現在は毎朝5時に起きて、1日分の食事を作ることから始めているそうで、「母が5時に起きるんですよ。1日分の作り置きをするんですけど、温かいものを母に食べてほしいので、朝作ったものを一緒に食べているんですけど、作っている時に母は人の悪口ばかりを言うんです。人の悪口を朝5時から聞きたくないので、何かロックみたいな音楽をかけながら朝が始まって。あとは掃除をして、買い物に行ったり、本当に家事全般をやっている感じですね」と笑いながら日常の様子を語った。

ムチを手にネタを披露するにしおかすみこ

仕事と両立させるのも大変な苦労を伴いそうなものだが、にしおかは「何回も言いますけど、そんなに仕事があるわけじゃないので。仕事の時はちょっとしんどいなって時はありますけど、何とかやれています」と自虐トークを交えて苦笑い。芸人の仕事の現状について質問が及ぶと「需要がないです」と即答し、「たまに事務所のタレントさんのバーターでイベントに行かせていただくと、双方でキョトンとするので。若い方とかは(自分のブレイク当時を)知らないじゃないですか。なので、ムチを持って出ていったらザワザワした感じになるんですよ。まったく仕事がないってことはないんですけど、たまに…」と現状を明かした。

今後も執筆業には意欲的で、「今は家族のことを書いていますけど、やっぱり書くことが好きですし、書くこともお笑いも劣等感でいっぱいなんですけど、そんなことを言っていたらスタートできないので、他の題材とかでも書いて仕事が広がっていけばいいなというのは、すごく思っています」と今後の見通しを口にした。

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