アニメ『ザ・ファブル』ヒナコが車椅子になった原因は、“明”に…!?徐々に語られる“4年前の事件”とは
2024.8.6 19:45毎週土曜24時55分より日本テレビ系にて順次全国放送中のTVアニメ『ザ・ファブル』(※7月6日〜8月3日は25時5分から放送)。8月3日の第18話『カンパイのパイ……。』では、オクトパスのデザイナー・貝沼を標的と定めた宇津帆一派がついに行動を開始。岬へのストーカー行為を逆手に取り、貝沼の弱みを握っていく──。一方、明とヒナコが邂逅(かいこう)していた“4年前”の事件についても徐々に真相が明らかになってきたほか、ファブルの存在を追う鈴木が明と遭遇…。散りばめられた謎や登場人物たちが段々と重なっていく様子に、SNSでは「こうやって、細い線が繋(つな)がっていくんだな」と感服の声が上がっている。
(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)
◆「2秒で涙は出ない…」 明とヒナコ、4年前の接点
夜、真黒住宅──洋子の部屋をカレーの香りが包んでいる──。「事件の情報は分かったか?」。料理中の“妹”に、明が質問を投げかけた。“4年前の6月頃、東京で起きた殺人事件に関する資料が見たい”と、調査を頼んでいた件だ。「4年前の6月の殺人事件──全部暗記したからどれか言ってよね〜」。洋子は気だるそうにそう返すと、カレーを焦がさないよう手を動かしながら覚えた事件のひとつひとつを挙げていく。
「6月4日、深夜スナックに強盗が入り…」「ちがう」
「6月10日、散歩中の男性が…」「ちがう」
「6月11日、大学生2人が──」「ちがう」
「6月20日、都内の立体駐車場で…」「それや!」
明が“食いついた”のは、無職・川平健二(28)が3階の立体駐車場から乗っていた車ごと落下し、死亡した事件。川平は何者かによって、首を刃物で切られていた──。洋子の話を聞いていた明が、ふと尋ねる。「同乗していた女の子がおったはずや…」。洋子いわく、少女の名は佐羽(さば)ヒナコ。当時16歳のいわゆる“家出少女”で、その時の“事故”により重体となったという。
「家出して変な男について行ったんでしょうに──…自業自得よね〜。まァ──若さを考えると同情もするけどォ──…」。つぶやく洋子を、明は「そんなんじゃない──…」と否定する。「俺がガラスを割って──ナイフで切りつけ──車内を覗(のぞ)くまで2秒──。女の子はすでに涙を流してた──。2秒で涙は出ない…」
実は、“6月10日の事件”も明の仕事のひとつだった。当時の明は、売春組織のターゲットを3人ほど抱えていた。「そうか…あのあと事故で──…」。明は、昨日公園で出会った車椅子の女性を思い出す。はるか目線の上の鉄棒へ必死に手を伸ばし、自力で立ち上がろうと汗を流していた姿を──。
翌日、明は同じ公園で再びヒナコを見つける。邪魔をしないよう様子をうかがっていると、そのうち鉄棒をつかみ損ねた彼女が前のめりに地面へと倒れた。なんとか上半身を起こしたところで、2人の目が合う。「…何見てんのよォ──」「いや…ちょっと通りかかったから──」。自身のリハビリ中に一度ならず二度までも現れた明を、ヒナコは完全に不審者扱い。手伝おうかという提案も「結構です!触らないで」と跳ね除け、車椅子にひとりで座り直してみせた。
「なんなの、アナタ──」。問いただすヒナコ。明はしゃがんだまま、彼女の顔を真っすぐに見上げる。「その調子だと、俺の予想だが──…時間はかかるだろうが歩けるようになる」。言われて、ヒナコはその言葉をどう受け取ればいいのか分からない様子だった。この公園は明の通勤路。明は「また見にくるよ──」と告げ、オクトパスへと向かうのだった。
◆点と点が繋(つな)がっていく!宇津帆の魔の手は、ついにオクトパスにも…
オクトパスからの帰り道、明は再び公園に立ち寄った。オレンジ色に染まる鉄棒を眺めながら、ベンチに座ってヒナコを待つ。だが、彼女はなかなか現れない──。ふと、見知らぬ男が声をかけてくる。「陽も暮れて冷えてきたねぇ〜。誰か待ってるのか?ニイちゃん──」。黒の長髪を後ろで束ねた、つり目の男。彼がヒナコと同じ太平興信所で働いていることを、明はまだ知らない。宇津帆に雇われた殺し屋であることも…。
明が答える前に、男は続ける。「もしかして、車椅子の子?」。どうやらこの男はヒナコの“兄”で、“妹”から『変な男がいる』と言われ代わりにやってきたということらしい。「いつも頑張ってるから──応援したいと思ったが──それは変な男…なのか?」「変な男だろ、身内でもないのに〜」。つり目の男は、明の顔を覗(のぞ)き込むように姿勢を下げる。「とにかく──妹は怖がってる。つきまとうな!こっちに引っ越してきて浅いから、怖がらせるな」
「怖がらせてたのか──…」。明がつぶやくと同時に、男の足がその頬を蹴り上げた。「妹に近づくな!変態ッ!」。言い捨てて、男は去っていく。その背中を、明は追わなかった。「変態か……なぜ……!」
真黒住宅へ帰るや否や、明は洋子に尋ねる。「例の“佐羽ヒナコ”やが──…兄がいるのか?」「何よ?急にィ──。アタシが調べた範囲じゃ一人っ子のハズよ──」。聞いて、明は「やっぱり…」とつぶやいた。ヒナコの身内でもない男が“自分の妹だ”と主張し、そのうえ彼女に近づく明を暴力で牽制(けんせい)。しかも、“あの蹴り方”は普通の格闘技ではなかった。「もっとこう──俺に近い感じの──ふと……ニオイというか──」
──…一方その頃、岬の部屋を2人の男が訪ねていた。ビシッとしたスーツに身を包み、太平興信所のスタッフを名乗るその男たちは、「このマンションで盗聴や盗撮被害がありまして──」と無料の調査を申し出てきたのだ。初めこそお断りしていた岬だったが、「何かがあってからでは遅い」「平和に暮らすため──警戒心は大切ですよ」という男の説得を受け、これを承諾。つい先日、真黒組のいざこざに巻き込まれた身として思うところがあったのかもしれない…。
部屋の隅から隅まで、男たちは手に持った発見器を壁際に沿わせていく。しばらくの間、ピピッ…ピピッ…と、小さな電子音だけが室内にこだましていた。「あの……お茶でもいれましょうか?」。なんとも言えない空気に負けたのか、岬がそう口にした直後、男の1人が密(ひそ)かに口角を上げた。
「じゃあ、お茶を一杯もらえますか」。男が優しく伝えると、岬はすぐにキッチンへ。彼女が扉を閉めたことを横目に確認すると、慣れた手つきでコンセントのカバーを外した。中には、超小型の盗撮器が1台。すぐさま回収し、もうひとりの男に合図を送る。そして、戻ってきた岬には「リビングは“問題ない”ですね」と伝えるのだった。「最後に、トイレと浴室を調べておきます」「すぐに終わります。これで安心ですね!」
男たちの名は、宇津帆玲と井崎勤。全ては“標的”である貝沼をハメるための作戦だった──。
事の発端は前夜にさかのぼる──。井崎は元々、宇津帆からオクトパスのデザイナー・貝沼の動向を探るように指示を受けていた。そんな中、岬の部屋に侵入しようと企む貝沼と遭遇。彼の欲望を知ると同時に、“清水岬”という名前に行き着いた。貝沼が岬の部屋の合鍵を用意していたことから、宇津帆は必ず盗撮器があるとにらみ、調査と偽って彼女に近づいたのだった──。
「くくくっ…見ろよコレ」。興信所に戻った宇津帆たちは、さっそく回収した盗撮機の中身を確認。すると、岬の部屋で盗聴器を仕掛けている最中の貝沼がバッチリと映り込んでいた。機器に搭載された人体感知システムが、貝沼にとって逆に仇(あだ)となったのだ…。この“証拠”と、今日“新たに仕掛けた盗撮機”を使って貝沼を追い詰める──それが宇津帆の狙いだった。
「ヒナ──ちょっと来い──」。宇津帆は、これからの計画を静かに語り始める──…。
「近くで2DKのマンションを探しといてくれ。1週間以内に契約する──」
「あと名刺を作るから、そのデザインをたのむ──。印刷は近くにそういうトコがあったろう──。確か、オクトパス…だったかな」