『風間公親-教場0-』に出演中の結木滉星に単独インタビュー 「モテたい」から始まった役者人生の現在地

2023.5.15 19:00

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現在放送中の木村拓哉が主演を務めるフジテレビ系ドラマ『風間公親-教場0-』(毎週月曜、よる9時~9時54分)で、神奈川県警本部捜査一課の刑事・尾山柔を演じる結木滉星。緊迫した場面が多い本作の中で、同課の刑事・谷本(濵田崇裕)と繰り広げるクスッと笑える掛け合いシーンも話題となっている。

雑誌『smart』の専属モデルを務め、役者としても作品ごとに新たな顔を見せるなどステップアップを重ねる結木だが、10年を超える芸能生活の中では挫折した経験もあったという。それでも結木が、この道を走り続ける理由とは? あらためて感じる“役者業”の面白さ、そして、今後の展望についても話を聞いた。

■演出家・鈴木勝秀との出会いで芽生えた思い「お芝居ってすごく楽しい」

――高校時代にスカウトされて、芸能界入りしたそうですね。

スカウトされた当時は、とにかくモテたくて(笑)。本当に原動力はそれだけで、「事務所に入ったらモテるんじゃないか」くらいの考えしかありませんでした。だから、それほどお芝居がしたいわけではなかったんです。

――その後、舞台『ぱんきす!3次元』(2015年)での演出家・鈴木勝秀さんとの出会いが、結木さんを変えたと伺いました。

鈴勝さんの演出の仕方は、「自分たちで考えて来い」というものでした。それまでは僕の勝手なイメージで、演出家の方って「もっとこうして、ああして」と指示を出して、教えてくれるのかなと思っていたんです。でも、鈴勝さんは全然そういう方じゃなかった。むしろ、自分で考えていかなければ目立たない。まずは考えていかないとヤバい、というところから始まって。そのうちに、台本に書かれているセリフだけではなくて、他にも何かできるんじゃないか、と考えるようになりました。台本の読み方自体が変わって、「お芝居ってすごく楽しいんだな」と思ったのがきっかけで、“今”があります。

――芝居に対して受け身だったのが、自分から進んで動くようになったと。

そうだと思います。それまで、僕の中に特に「こうしたい」というものがなかったので、そこは大きく変わったかもしれません。

――ちなみに、事務所に入ってモテましたか?

いや、結局モテなかったです。やっぱりダメですね、「モテたくて」とか考えている時点でモテないです(笑)。

@entax

■大学卒業後、「安定した仕事に就きたいとは考えていなかった」

――2018年には、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のパトレン1号/朝加圭一郎役でドラマ初主演。やはり、この経験は大きいですよね?

すごく大きかったです。ちょうど大学を卒業した頃で、就職もしていなかったので、「この先どうなるんだろう」とか「仕事がなければバイト生活をしていかなきゃ」と思っていて。そのタイミングで『ルパパト』が決まったので、「とりあえず1年間は仕事があるから良かったな」と安心したのを覚えています。

――大学を卒業して、就職しようとは一切考えなかったのでしょうか。

それは考えなかったですね。もう鈴勝さんとも出会っていたし、「役者って楽しいな」と思っていた時期なので。この仕事でやっていきたいっていう思いが強くて、安定した仕事に就きたいとは考えていなかったです。すごく前向きでしたね。このまま続けていれば、いい方向に進むんじゃないかなと思っていました。

――1年間の戦隊ヒーロー時代を振り返ってみていかがですか。

1年間、同じ作品で、同じスタッフさんやキャストさんとご一緒できる機会はなかなかないと思うので、貴重な時間だったなと思います。全員が本当にワンチームでやっていたので、学校に通っているような感覚があって楽しかったですし、いい経験になりました。

@entax

■ここで辞めたら中途半端「とにかく成長して、売れて、恩返ししたい」

――これまでの役者人生で、挫折した経験はありますか?

「やめようかな」と思った瞬間はいっぱいあります。「向いてないな」とも思ったり。演出家や監督によって求められるものも、言われることも違うし、自分が信じてきたこととか、自分なりにやってきたことを「違う」と否定されて、辛いこともありました。でも、ここでやめても中途半端だし、いろんな人に恩返しもできていない。まだ「この仕事はもういいや」と思えていないな、と思ったんです。そう思えるまでは続けたいと思っていたので、踏みとどまりました。

――恩返しというのは、たとえばどんな方に?

昔から応援してくれてる方……あとは、やっぱり親ですかね。親が一番の味方で応援してくれているので、とにかく成長して、売れて、恩返ししたいなと思ってます。

――ご両親とお仕事の話はされますか?

いや、仕事に関してはほとんど話さないですね。「最近どうなの?」とかは一切聞いてこないですし、だからこそ実家に帰るとホッとします。

――先ほど挫折した経験について伺いましたが、たとえば他の役者さんとご自身を比べて嫉妬するようなことはありませんでしたか?

昔は結構ありましたね。それこそ役者を始めたばかりの頃、オーディションに行くといつも会う人がいて。絶対に僕じゃなくて、その人が受かるんですよ。それはすごく悔しかったですし、「なんでだろう」って。でも、だからといって心が折れることはなくて、「絶対この人よりも有名になってやる!」と思っていました。

――嫉妬をパワーに変えられたんですね。今、あらためて役者という仕事にどんな魅力を感じていますか?

何よりお芝居が好きなので、いろんな役でいろんな人生を演じられることが楽しいです。それに、現場でたくさんの人と芝居を通してコミュニケーションする面白さっていうのは、何にも代えがたいものがあります。そこが一番かなと思いますね。

――演じる楽しさに加えて、みんなで作り上げていく面白さもあるわけですね。

僕はずっとサッカーをやっていて、チームプレーみたいなものが昔から根付いているので、それはあるかもしれないです。みんなで作って完成した映像を見た瞬間に、「良かったぁ」ってジーンとします。

@entax

■目標とする俳優は中井貴一「主演作もたくさんやりたい」

――経験を重ねていく中で、思い通りにいくことばかりではないと思います。それでも結木さんが、役者を続けている理由は?

好きだからですかね。あとは、まだまだここで終われないなっていうのもあります。目標としては、主演作もたくさんやりたい。そのためにも、とにかく今は目の前のことをコツコツやっていこうと思っています。

――将来的に目指す役者像はありますか?

僕は中井貴一さんがすごく好きなので、ずっとこの仕事を続けていって、将来は中井さんのような味のある役者さんになりたいです。

――最後に、この先も変わらずに持っていたい役者としての信念を聞かせてください。

やっぱり鈴勝さんに教わったことと、「自分を信じる」というところは曲げたくないです。これからも、自分を信じて進んでいこうと思います。

【結木滉星Profile】
1994年12月10日生まれ。大分県出身。高校時代にスカウトされ、2012年に役者デビュー。2018年に『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』でドラマ初主演。以降、ドラマ『危険なビーナス』、映画『凪の島』などの数々の作品に出演。 最近では、『PICU 小児集中治療室』で演じた初の父親役も話題となった。現在は、雑誌『smart』 専属モデルとしても活躍中。

写真:©entax

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