平野良が演出『2.5次元ナビ!シアターvol.2』“大嫌い”を使って“大好き”を伝える、こだわり明かす

2023.10.22 13:00

CS放送「日テレプラス」にてレギュラー放送している『2.5次元ナビ!』。MCを務める俳優の平野良が演出を務め、番組を飛び出して舞台上で様々な役者たちと“セッション“する第2弾公演「2.5次元ナビ!シアター」vol.2が11月に開幕する。entax取材班は、演出の平野良と、出演者の松永有紘、桐田伶音に単独取材を敢行。舞台への意気込みなどについて聞いた。2.5次元舞台では見られない俳優の姿を見せる演出手法とは?

(インタビュー前後編の前編)

■2.5次元俳優が大集合して舞台でセッション

――「2.5次元ナビ!シアターvol.2」への意気込みをお聞かせください。

平野 2.5次元俳優が集まって舞台に立つというコンセプトで昨年vol.1を開催して、今回が2回目となります。舞台では2.5次元のお芝居をするわけではないのですが、2.5次元俳優の“役者”の部分、普段の彼ら、パーソナルな部分を広げて皆さんに届けられたらと思っています。

2.5次元の舞台というのは、元々ある役(キャラクター)を演じるわけなんですが、演じる側にスポットライトを当てられたらというのが前回から続いている主旨になります。キャラクターとしての彼らではなく、彼ら自身が持っている魅力をキャラクターにするというイメージです。

平野良

桐田 僕は今回、カメラマンの役を演じさせてもらうのですが、自分が体験したことがないような職業の方をストレートに演じるのが初めて。それを自分の中でどれだけ消化できるのかというのが課題です。やったことないからできない、ではなく自分なりに情報収集をすることが成長につながるし、それを自分の中に取り入れて芝居ができたらと思っています。

自分の役柄をきちんと演じるのはもちろん、他の方の芝居を受けたらこういう反応になるよね、というのを生で感じながら芝居ができたらいいなと思っています。

桐田伶音

松永 僕は今回役者の役なんですが、舞台でも他の作品でも、役者を演じるというのは初めての体験です。ある意味、役者の表に出ていない部分というのは、普段はあまり見せないようにしてきているので、そこを舞台で演じるということにすごくワクワクしています。

松永有紘

■台本に載っていない「サブテキスト」で普通に生活している人の匂いを出したい

――前回のvol.1は「セッションしようゼ!」がテーマのコントでした。今回は2.5次元舞台をテーマにした物語を、2.5次元俳優さんが演じるというストレート作品。演出を手がける平野さんは、どのような舞台にしたいと考えていらっしゃいますか?

平野 まだ読み合わせもしていない段階なので(取材は9月半ば)、読み合わせをすると感覚がつかめてバタバタッとつくり出せると思います。演劇の世界ではテキスト、サブテキストという言葉があり、テキストは台本、サブテキストは台本に載っていない感情を出すこと。その、サブテキストの部分を大事にしたいなとは考えています。

例えば「大嫌い」というセリフが与えられていたとしても、その「大嫌い」を使って「大好き」を伝える、というようなことがサブテキストなんです。演じ方によって、(言葉のストレートな意味に関わらず)サブテキストを伝える。そこが演劇の面白さでもあります。

ところが2.5次元舞台の手法だと、あまりサブテキストの部分は使われなくて。基本はテキスト通りの感情を出す、もしその裏を描きたかったら、別のシーンで台本によって別の言葉を伝える、といった構造になるんです。作品にもよりますが、台本通りの言葉を言いながら違う意味を伝えるというのは、2.5次元舞台ではあまりないことなんです。

平野良

人が普通に生活していたら、日本人は特にですけど、建前と本音は違いますよね。こうしてまじめに取材を受けていても、実は「終わったらどこのサウナ行こうかな」とか、「晩ごはん何を食べようかな」って考えていたり(笑)。言っていることと思っていることって違っていたりもするので、そういうところを表現していけたらと思います。普通に生活している人の匂いみたいなものが出せたら。

■先輩の芝居を見て、盗んで、自分の役を上げていきたい

――桐田さんと松永さんは今回初参加ですね。共演者の顔ぶれを見ていかがですか?

桐田 僕としては、共演者の皆さんは大先輩方ばかりなので、まずは色々学ばせていただきたいと思います。自分ができないなんて当たり前とは思わず、自分ができることはやった上で、経験値の高い皆さんの芝居に対する考えを聞いたり実際の芝居を見て、自分でも考えながら演じていけたらと思っています。

でもとりあえず、この顔ぶれの中で舞台に立たせていただけることに、まず感謝の気持ちでいっぱいです。皆さん「あ、この作品に出ていた方だ!」とお名前や役名がすぐ浮かぶ方ばかりですし、そういった方ばかりが共演者という舞台は今まであまり経験がないので、すごくうれしいです。

桐田伶音

松永 直前に同じ座組(『テニスの王子様』4thシーズン 青学vs六角)を組んでいた桐田伶音くんはじめ、知っている顔が何人かあるので、そこは心強いですし安心感があります。先輩方には胸を借りるというわけではないですが、色んなものを見て、盗んで、自分の役をもっと上げて行けたらいいなと思っています。

松永有紘

■最近の10代、20代の役者は最初からポテンシャルが高い

――舞台の先輩方の芸というか芝居は、やはり聞いて覚えるというより見て覚えるという感じなんですか?

松永 はい、見て覚えます。

平野 今でこそ演劇のワークショップが開かれていたり、若い役者さんだと2.5次元が初舞台という方も多いので、そこで教わることもあるとは思いますけど、見て覚えることの方が多いかもしれませんね。

僕の時代は携帯電話もあまり普及していなかったし、教えてもらえたらありがたいけど、基本的には“見て盗め”の時代でした。教えてもらったことが全然違った、なんてこともありました(笑)。芸事の世界はそんなものじゃないですかね。落語のネタを覚えるのに「三遍稽古」なんて言葉がありますけど、僕の場合は初舞台から口立て(口頭の打ち合わせでセリフを覚えていく手法)でしたからね。

松永有紘と平野良

今は情報がいっぱいあって、恵まれているといえばそうだけど、最近の10代、20代の役者ってすごくポテンシャルが高い。最初から歌えて踊れて芝居できて、という子が多いんです。演出する側としては、できることが多いから作るのも楽しいです。ただ、逆に色んなことを知っている分、一つひとつの極め具合はまばらだと思うので、そこを深められたらいいなと思っています。そこからの可能性がすごく広がっている気がします。

(インタビュー後編へと続く)

【あらすじ】
人気2.5次元俳優である内海は、主演舞台の本番を終わらせるといの一番に帰宅する。食事に誘われても、ありもしないリモート打ち合わせでお茶を濁す日々。ニコニコと外面も良く、一見誰とでも仲良くなるが心の距離が埋まらない。終演後に一人で帰っているとマネージャーから説教され、道に迷い、反社会勢力風の男に遭遇したりと踏んだり蹴ったりで、バラエティのロケに行けばディレクターから怒られて、カメラマンからは意味不明なことを言われ、スタッフのミスにフラストレーションが溜まるばかり。舞台の演出家からは、あと一歩と言われるがどうしていいかわからず、共演俳優たちのアドバイスもバラバラでどうしていいかわからない。大人を、仲間を信じていない内海は仕事の合間に一人になりたくて公園で弁当を食べていると、家無きおじさんに絡まれて日々疲弊していく。そんな中、勘違いから生まれる炎上に巻き込まれ、もう業界を辞めようと思った時に、内海を守ってくれたのは、自分が信じていなかった大人たちや仲間たちだった。人と人が信じあい、つながっているからこそ生まれる表現がある。SNS上ではわからない、絆を紡ぐ「ショーマストゴーオン」。

【出演者】
前川優希
岩崎悠雅 松永有紘 桐田伶音
飯山裕太 松原凛 宮尾颯/
安里勇哉 葉山昴/
今立進(エレキコミック)/平野良
松井勇歩(友情出演)

【公演情報】
【日時】 2023年11月8日〜12日 【合計10回公演】
【脚本】 池浦毅(男肉 du Soleil)
【演出】 平野良 
【場所】 シアター・アルファ東京
〒150-0011 東京都渋谷区東3-24-7
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写真:©entax

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