アニメ『ばいばい、アース』ファイルーズあいが原作者・冲方丁に直球質問「この“良すぎる設定”はどうやって思いついたんですか?」

2024.6.23 18:00

6月22日(土)にアニメ『ばいばい、アース』の第1話から第3話のプレミア先行上映会が行われた。主人公・ラブラック=ベルを演じる声優のファイルーズあい、クエスティオン=アドニスを演じる内山昂輝、監督の西片康人、原作者の冲方丁がイベントに登壇した。

大人気作家・冲方丁のデビュー後第1作目にして最高傑作のひとつである『ばいばい、アース』。本作は獣人だけが住む不思議で神秘的な“異世界”が舞台。唯一の人間として生まれたラブラック=ベルは自分のルーツを探す旅に出る物語。

小説を作る上で特にこだわった部分を聞かれた冲方は「世界を構築することですね。当時西洋のゲーム的ファンタジーがはやっていて、それとは違うイギリス、ヨーロッパのハイ・ファンタジーと呼ばれている、その作品独自の設定しかないファンタジーを目指そうということになりました。若気の至りで思いついたものから入れ込んでいったような作品です」と、『ばいばい、アース』ならではの世界観がうまれたきっかけを明かした。

映像化不可能と言われていた作品を映像化することについて西片監督は「監督のオファーをいただいたときに、とんでもないものを持ってこられたなと。これほどの重厚な世界観を今までアニメにできなかったのも分かるなと思いました。昨今多様性などの世界観を海外でも許容されるようになり、そういう意味では今この時代にこの作品を世に出すっていうのは、ある意味ちょうど世界が作品に追いついてくれたのかなという感じで、このタイミングでアニメ化する価値があるのかなと思いました」と監督を受けた際の気持ちをコメントした。

さらに演出でこだわった点を聞かれた西片監督は「アクション作品なのでアクションですね。特にベルのアクションは重い剣を軽々と振り回すというところがまず1つ。映像的なことで言うと色彩感覚です。方角が色で表現されていたり、ベルのペンダントの時計石は色が時間を表しているので、そこをチェックしていただけるとありがたいです」と演出面でのこだわりを明かした。

映像について聞かれた内山は「3話まで一気に見て、全く飽きることなく、早く次が見たくなりました。キャラクターがどんどん新しく登場するので、このキャラクターはどういう種族でどんなキャラクターで、ベルとどういう関係になっていくんだろうって楽しみになっていくので、描かれる世界観に見ている人が身を投じて、その世界にいるかのように楽しめる作品なのかなと思います」とコメントした。

イベントでは第1話から第3話までのキーポイントとなるシーンを振り返った。その中で第1話のベルが旅に出ることを決意し、師匠・シアンとの戦いに挑むシーンについてファイルーズは「このシーン(師匠・シアン役の)諏訪部さんと一緒に録れたんですよ。優しいけれども、厳しさをおびてる声で…厳しくないとベルはこの先、生きていけない世界の残酷さもシアンは知っているので、師として心を鬼にしてくれているんだなと冷静に見てる自分と、情熱を燃やして覚悟を決めようと奮闘しているベルとの気持ちの葛藤で揺れ動く気持ちはありました」とアフレコの際の気持ちを振り返った。

続けてファイルーズは「逆に先生に旅の者(ノマド)になるために師を忘れる、この“良すぎる設定”はどうやって思いついたんですか?」と質問。冲方は「当時の教育者の理想、教育が終わったらいらなくなるというところですね。そうしないと次の世代が新しい思想を生み出したときに“俺の教えと違う”って言っちゃうんですよ。次の世代の足を引っ張らないために…」と最初のキーポイントとなる設定の裏話を明かした。

続いて内山演じるアドニスとベルの兄弟子・ガフがベル対キールの戦いを見守っているというシーンについて内山は「ビジュアル一発で、僕がキャラクターから受けるイメージですけど、絶対色々抱えてるだろうなっていう…顔と佇まい含めて。色々葛藤が渦巻いているだろうなっていうのを感じながらアフレコに臨んでいるので、これから明かされることを胸に刻みながら表現していければなと思って演じました」とアドニスのふくみをもたせた表情について触れながらコメントした。

最後のコメントにてファイルーズは「自分自身が子どもの頃にこの作品がアニメになって、みんなが見ていたら、もしかしたら世界のものの見え方って変わってたのかなとか思ったりもしたんですけど、でも今この時代にアニメになるからこそ、私はラブラック=ベル役ですと名乗れますし、声だけでもベルに寄り添うことができて、同じように悩みを抱えるマイノリティの子どもたちに勇気を与える存在の一端を担えるので、それが私にとって本当にうれしいことなので、作品を通してそういったメッセージも一緒に発信できたらなと思います」と語り、イベントを締めくくった。

『ばいばい、アース』
2024年7月12日(金)23時30分よりWOWOWにて放送・配信開始

©冲方丁・KADOKAWA/WOWOW,ソニー・ピクチャーズ,クランチロール

写真:©entax

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