カズレーザー 一人称「俺」でセクハラ判定? 複雑なハラスメント時代を生き抜く、“加害者にならない”ための境界線とは

2024.10.30 11:15

この件では、「俺」という一人称も女性側に問題視されたというが、この男性は常に誰に対しても「俺」と発言するため、問題にならなかった。しかし小野氏は、例えば女性にだけ「俺」と使っていた場合、「その後に続く言葉っていうのも大事ですけど、場合によってはハラスメントになることっていうのは、十分あると思います」と注意喚起を行った。

続いて遠藤氏も、実際の裁判例をもとに、注意すべきハラスメントの境界線について解説した。

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中央大学 法学部長 遠藤研一郎

まず紹介されたのは、何度言っても自分自身のスケジュール調整ができないという部下に対して、「もう何か月やってるんや」「小学生レベルの能力しかないのか」というふうな発言をした上司が、パワハラで訴えられた事例。

この事例でも、発言はパワハラと認められなかった。遠藤氏によれば、繰り返し指導しても改善しないことに対し、感情的になった発言は不適切ではあったが、パワハラまでは認められなかったといい、部下側の能力も、パワハラ認定には大きく影響することが示された。

更に、パワハラ認定がされなかった事例として挙げたのは、とある病院での事例。
ミスを繰り返す職員に対して「ミスが非常に多い。このままでは業務を続けるのは難しい」などの叱責をした上司がパワハラで訴えられたというが、この場合は、生命、健康を預かる病院の管理職として、当然なすべき業務上の指示とされ、認められなかったという。

遠藤氏は「取り返しがつかない、失敗が許されないというような現場もあると思います。そのような中でなされる叱責ということであれば、許される可能性というのはやっぱりある」と話し、職種によって叱責の許容ラインは変わりうることを強調した。

職場による基準も変わり、また発言の文脈によっても大きく左右されるハラスメント。小野氏によると、叱責などをした場合は、その後のフォローが重要になるという。「さっきちょっと厳しく言っちゃったけど、みたいな感じで、一言フォローが入るだけで全然違う」と、加害者にならないためのアドバイスを贈った。

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写真提供:(C)日テレ

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