阪神・淡路大震災から30年…繰り返しの大地震でも住み続けられる “防災持続力”の重要性
2025.1.17 17:30
1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災から今年で30年──。住宅メーカーのパナソニックホームズは、同社の研究や過去の災害経験によって積み上げてきた“防災持続力”が1日も早い日常生活の回復を実現する原点であると提唱。1月8日(水)にメディア向け説明会を実施した。
阪神・淡路大震災では、家屋倒壊など直接被害の大きさだけでなく、避難所での衛生環境や精神的疲労などの問題から起きた“災害関連死”という課題が注目された。そこで同社は、避難所を中心とした“場所”への支援から“人”への支援に進化させ、在宅避難をする被災者の生活環境改善が必要と考えた。
在宅避難を可能にする住まいづくりに欠かせない“防災持続力”とは、「構造の“強さ”」、「災害時に家の機能を持続すること」、「復旧支援」の3要素を追求することだと同社は言う。

1つ目の「構造の“強さ”」の追求として代表的な例が、“アタックダンパー”と呼ばれる制震構造で、超高層ビルの制震技術を独自技術で住宅用にダウンサイズしたものだ。これによって倒壊だけでなく、建物のゆがみまで抑えることが可能となり、繰り返しの大地震でも住み続けられるという。
次に、「災害時に家の機能を持続すること」の追求とは、水や電気など自宅で生活を続けるための住宅性能や設備のことを指す。たとえば、同社では停電時でも太陽光発電と蓄電により最大11日間電気を使うことができる。さらに断水時は、水道管の一部に貯水タンクを設置することにより約3日分の飲料水の確保が可能だという。
そして「復旧支援」の追求として、さまざまな実証実験のデータに基づく『P-HERES(ピー・ハーレス)』と呼ばれる独自システムにより被災リスクを推定し、建物の被害規模を判定することができるようになった。災害発生時の生活再開を支援するカスタマーサービスや、被災時のお見舞い金給付などのサポートも充実しているという。

説明会が行われたパナソニックホームズの施設『住まいとくらしの情報館 つくば』(茨城県つくばみらい市)では、ショールームの展示はもちろん、学生向けの防災勉強会や仕事体験なども行われており、災害体感コーナーも設置。「災害体感コーナー」では大地震の揺れを体感することができ、この日も取材陣向けにシミュレーションが行われた。
また、実物大の住宅による振動実験の映像が上映され、そこでは阪神・淡路大震災や東日本大震災と同等の揺れで検証。数十回にわたる振動を加え、繰り返し地震が起きても建物の強度が落ちない技術について解説された。

最後に屋外では、直径約1メートル、重さ約1トンの巨大な鉄球をクレーンで吊り上げ、建物の骨組みに衝突させる実験が行われた。このとき鉄球の衝撃は約20トン(震度7の地震の衝撃に相当)にものぼるが、前述したアタックダンパーを用いたHS構造(制震鉄骨軸組み構造)により、骨組みは倒壊せず、フレームのゆがみを抑えることが実証された。
このように、防災持続力を備えることで、同社はこれからも災害関連リスクの最小化を目指していくという。