スキマスイッチ単独インタビュー 「その時々の等身大の自分たちが感じるものを作品に」

2022.6.30 22:00

7月1日放送の『バズリズム02』に出演するスキマスイッチ。来年でメジャーデビュー20周年を迎える彼らに、これまでの振り返りや新曲の注目ポイント、楽曲制作へのこだわりについて話を聞きました。

――来年デビュー20周年を迎えますが、今までを振り返りターニングポイントになった楽曲はありますか?

大橋 代表曲と言ってもらえる『奏(かなで)』や『全力少年』はターニングポイントかなと思います。あとは最近「小学生の頃に『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』主題歌の『ボクノート』をよく聴いていました」と言っていただけることも多くなりました。

常田 ここ1〜2年くらいだよね。一緒に仕事する方や、対バンするバンドさんからも言ってもらえるようになりました。

大橋 「小さい頃に聴いていました」とか「お母さんの影響で、一緒にライブ来るようになりました」とか言ってもらえるようになって、20年もやっていると僕らも歳を重ねてきたんだなと実感が湧きます。

■ダンサブルでアップテンポな新曲は2番に注目

――新曲『up!!!!!!』はどんな曲ですか?

大橋 今回はダンサブルでアップテンポなナンバーを作ろうと思い、CM楽曲のオファーをいただいたこともあって、“突っ走っていく”という疾走感を出せたらいいなと思って作った楽曲です。

常田 ちょっとだけデジタルくささもあり、歌と楽器が折り重なっていく感じで、レースっぽくするイメージもありました。

――曲を作る上で意識したことは?

大橋 今回はボーカルをしゃべるように歌って、言葉が転がっていく面白さのようなものをすごく意識して歌を録りました。あとはサビに向かっていく流れですね。

常田 2番に入ったときにいきなり変化がつくところ。声で合いの手が入る感じが、最初に話を聞いたときはイメージできなくて、やってみたら「あ、なるほど!」と思いました。その感じを強く押し出していこうとなり、分厚くなっていきました。作っている過程で、新しいアイデアをどんどん盛り込んでいけるようになったのは若い頃とは違うなと感じます。2番のAメロは口ずさんでしまう感じになっているので、そこも聴いてほしいですね。

■自由度が増している曲作り。カッコいいものはどんどん取り入れる

――楽曲制作へのこだわりに変化はありますか?

大橋 どんどん変わってきていますね。昔は自分たちの世界をわざと狭くして、その中で何ができるかということに挑戦していたんですけど、今は何でもありになってきていて、コンピュータでデジタルっぽい音色を使うのも今は二人とも抵抗ないです。「なんかカッコいいし、いいんじゃない?」という感じで。自由度はどんどん増していると思います。

――新たなジャンルに取り組む予定は?

大橋 おそらくポップスというジャンルからは抜け出せないんですけど、その中でも色々な振り幅は持たせたい。そもそも二人とも色々なジャンルの音楽を聴くので「カッコいいな」と思った部分をどんどん取り入れて、ミクスチャーっぽくなってきています。

常田 雑食っていうのもあるけどね(笑)この間はボカロPのすりぃさんにもリミックスをお願いしましたし、「ぐちゃっと好きなものを集めて作りました」というものが毎回アルバムででき上がっている感覚がずっとあります。

――今、ハマっている音楽は?

大橋 若い子たちが今どんな音楽をやっているのかアンテナを張っていますが、歌上手い子、特に器用な子が増えたと思いますね。

常田 チョップと言うんですけど、歌を加工したもので楽曲を作り上げちゃうような人もたくさん出てきているからね。そのデジタルくささと、生音くささの二極化は面白いんじゃないですかね。

大橋 tonunという子がすごい気になっています。非常に才能があって、ギターも上手いし、自分でトラックも作ってミックスまで全部自分でやる。今の子って感じの印象ですけど、カッコいいですね。ここから活躍し出すんじゃないかなと勝手に思っています。

常田 僕はアメリカのDJ系とかEDMとかが好きなんですけど、それをカントリーと落とし込んだジャンルがあって、それをずっと聴いていますね。いわゆるデジタルをデジタルとして扱っていない、アナログとして解釈しているような人たちが好きです。

――どんなときに曲がひらめきますか?

大橋 映画や絵画などの芸術作品に感化されて「自分もカッコいいもの書きたいな」と創作意欲が生まれてきますね。カッコいい曲を聴くと悔しくなりますし、そこで刺激を受けるとギターとかピアノをいじって、メモ書きっぽく録音しておくことが多いです。そこから曲を作ることがほとんどですね。

――録音した音声メモについて

常田 ICレコーダー失くせないもんね。

大橋 もう何曲入っているんだろう。最近は携帯にも入れています。

常田 それ引っ張り出し方わかるの?

大橋 探して再生ボタン押すだけです(笑)

常田 データ落としておかないと!

大橋 なくなっちゃうといけないからね。機械は疎いので、そういうのはできないです(笑)

常田 一回消えてたよね?

大橋 590トラックくらい消えました(笑)数秒しかないやつもあるんですよ。

常田 それでも2曲くらい覚えていたら、それはよほどの名曲だね(笑)

大橋 思いついたら道端でも鼻歌で録音して、大体そのときにコードも頭の中で鳴っているので、家でコードをつけて清書しておくことが多いですね。

常田 僕は書くって決めたときに書く感じなので、普段は離れてないとダラダラしちゃうんですよ。時間を決めて、そこでドバっと出すのが好きです。ただ思い浮かぶときはあるので、歌詞はギミックとかをメモるんですけど、あとで聞くとすごく恥ずかしい(笑)

■これからも等身大の自分たちを表現していく

――今後挑戦したいことは?

大橋 曲作りに関しては、歳を重ねるごとに変化していって、特に歌詞は背伸びをせず、等身大の違和感がないような言葉選びをしています。テーマもその時々の等身大にして「僕らが今これを言っても説得力がないよね」というような大きなことは歌わない。でも、年齢を重ねていくとテーマも増えて、それを歌うのに年齢が追いついたというような感覚があります。そのときに感じているものをこれからも作品に落とし込んでいきたい。あと、ライブはずっと続けていきたいですね。ステージでパフォーマンスすることがミュージシャンとしては一番大事なところだと思います。ライブは少し時間が空くと、ブランクを感じますからね。ライブ感みたいなものが鈍るので、持続していきたいと思っています。

——ライブで新たにやってみたいことは?

大橋 ポップアップ!ジャンプしてステージに出てくるやつ(笑)

常田 前に一瞬やろうかって話あったよね。

大橋 アイドルの方たちがやるじゃないですか。ひざ痛くなりそうですけどね(笑)

常田 つりものとかは?

大橋 つりものは向いてないですね。「痛い痛い痛い痛い!」ってなって歌えないと思うんですよ(笑)

常田 ダンサーと一緒にやったことも一度もないので、やってみたい。

大橋 コラボレーションは好きなので、面白いこと思いついたらやってみたいとは思います。

――ファンの方へメッセージ

大橋 皆さんのおかげで20年活動を続けられているので、みんなに喜んでもらえるような楽曲を作り続けるのと、やっぱりライブは続けていきたいです。今もツアーやっていますけど……

常田 12月まであるので、そこで伝えていくものを伝えていきたい。ただ曲をやるだけじゃなくて、「20年ありがとうございます」というのをたくさんの人に伝えたいです。

大橋 ライブ会場で「僕らのコンサート初めて来てくれた人?」って聞くと、結構手が挙がるんです。まだまだそういう人たちは全国にたくさんいらっしゃるので、細かくたくさんの場所を回れたらいいなと思っています。

常田 今年は47都道府県ツアーで細かく回っていけているので、しばらく続けたいです。

大橋 ライブはCDとは違う面白さがあって、リアレンジしていたりもするので、見る場所がたくさんあると思います。ぜひライブ会場に遊びに来てください。

☆本インタビューのフルバージョンはYouTubeでご覧ください。

【スキマスイッチ プロフィール】
大橋卓弥、常田真太郎のソングライター二人からなるユニット。1999年に結成し、2003年にメジャーデビュー。これまで『奏(かなで)』『全力少年』『ボクノート』などの代表曲をはじめ、多くのヒットソングを世に生み出してきた。昨年リリースしたアルバム「Hot Milk」「Bitter Coffee」を引っ提げた全都道府県ツアー「スキマスイッチ TOUR 2022 “café au lait”」開催中。

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