『ゴジラ-1.0』山崎貴監督、ZIP!に生出演 米・アカデミー賞「視覚効果賞」受賞の快挙に至った撮影エピソードの数々を明かす

2024.3.13 15:45

【ZIP!×entax】
日本テレビ系 朝の情報番組『ZIP!』に3月13日、米・アカデミー賞で「視覚効果賞」を受賞した『ゴジラ-1.0』の山崎貴(やまざき たかし)監督が生出演。オスカー像を手に、受賞が決まった瞬間の気持ちや撮影時の貴重なエピソードなどを語った。

総合司会の水卜麻美アナウンサーの呼びかけでスタジオに登場した山崎監督。「すごく重いです」と話しながら水卜アナにオスカー像を手渡すと水卜アナは「ダンベルくらい重いですね!」「一生に出来ないほどの経験をさせていただいた」と感激。

続けて、曜日パーソナリティーのジャングルポケット・斉藤慎二も恐縮しながらオスカー像を手にすると「うおっ!スゴイ!これは持てない、持てない!」とすぐに山崎監督に恐る恐る返却。スタジオはどよめきに似た空気感が漂った。

山崎監督は8日(金)に行われた、日本アカデミー賞の授賞式に出席。『ゴジラ-1.0』で最優秀作品賞を受賞したその日の夜に今度は米・アカデミー賞の授賞式に出席するため、アメリカに飛んだことを明かし、授賞式に出席した後、昨日帰国。記者会見や番組出演など怒涛のスケジュールだったという。

山崎監督が手がけた『ゴジラ-1.0』は戦後まもない日本にゴジラが襲来、逃げ惑う人々や立ち向かおうとする姿を描いた作品。今年の米・アカデミー賞では、CG技術などで表現の幅を変えた作品に贈られる「視覚効果賞」を受賞。これまで名だたる作品が選ばれてきた視覚効果賞だが、アカデミー賞96年の歴史の中でアジア映画の受賞は初。日本の映画史を変える快挙となった。

山崎監督の前のテーブル上にはオスカー像とともに「金のゴジラ」のフィギュアが。「一緒に(授賞式に)行きましてね。ちゃんと蝶ネクタイが」とゴジラも“正装”して出席したという。また、日本アカデミー賞の時は黒いゴジラが出席、米・アカデミー賞用として金のゴジラを持って行ったことを明かした。

続けて水卜アナが「監督、いつもゴジラを片手に…小脇に抱えてらっしゃって」と話すと山崎監督は「(ゴジラのフィギュアを)持ってると認識してもらえるんで、“オー!ゴジラ!”“見たよ!”って」と、ゴジラフィギュアを持っていると声をかけてもらえる確率が上がるというエピソードを披露。

続いて、授賞式で話題になったこととして、かかと部分がゴジラの手になっているゴジラシューズが紹介されると「すごい人気でしたね!僕らの写真より靴の写真を撮っている人のほうが多いくらい。(カメラマンから)“足出せ、足出せ!”って言われて。大人気でした」と、現地でゴジラシューズが注目を集めていたことを明かした。

そして米・アカデミー賞授賞式での話題に。アーノルド・シュワルツェネッガーに『ゴジラ-1.0』の作品名が読み上げられた時の気持ちを聞かれた山崎監督は「何か、ちょっと爆発しそうな感じでしたね。“ウワー!”って。アドレナリンが出てというか。(視覚効果賞の受賞は)正直、五分五分くらいかな、と思ってたんですけど、一応、スピーチ(の原稿)を用意するくらいには期待していました。もし(原稿が)無いと呼ばれた時に大変なことになるなと思ったんで」と、事前に英語スピーチの原稿を準備していたことを明かした。

山崎監督は、幼少時代に『スターウォーズ』や『未知との遭遇』に影響を受け、特撮の道を目指したという。その後、1986年に現在も山崎監督が所属する白組に入社。2000年に『ジュブナイル』で映画監督デビュー。2005年には『ALWAYS三丁目の夕日』が公開され第29回日本アカデミー賞で12部門受賞、さらに2013年には『永遠のゼロ』が公開され、第38回日本アカデミー賞で8部門受賞した。

その後も『寄生獣』や『ルパン三世 ザ・ファースト』など多くの作品を手掛け、国内で評価され続けてきたが、今回、『ゴジラ-1.0』でアメリカのアカデミー賞「視覚効果賞」を受賞した。改めてこれまでの軌跡を振り返った山崎監督は「一生懸命頑張ってきたらいいこともあるなという感じですね」と語りつつ、受賞の感想を聞かれると「映画を作ることが一番大事ですから、賞を頂けるっていうのはボーナス」と語った。

そして水卜アナから事前に準備していたというスピーチ用の原稿について聞かれた山崎監督は「自分で書いていて超、字が汚くなっちゃって(笑)。僕、(受賞後のスピーチで)読んでる時にものすごくテンパってるんですけど、あれ単語が読めなくて。自分の字が汚すぎていっぱい線とか引いちゃってて、どれ読むんだっけ?ってなっちゃって。それであんなにテンパってたんです」とスピーチの“裏話”について語りスタジオは笑いに包まれた。

続けて「でも会場内はすごく温かかったです。つたない英語なんで、(会場の)みんなが“はい、頑張って、頑張って”って全員お母さんみたいになっちゃって(笑)。“頑張って読んで!”っていう空気がすごい伝わってきたんで。本当に素晴らしい場所に連れて行っていただけたなと」と、米・アカデミー賞の会場内がとても“温かい空気”だったと明かした。

続いて授賞式で印象的だったことを問われると「(スティーブン・)スピルバーグ監督と同じ場所にいるっていうのが、もう本当に素晴らしかったですね。僕は『未知との遭遇』(との出会い)がキャリアの中ですごく大きな存在なんで、まさか本当に(スピルバーグ監督)本人と会えるとは、というね。“生き神様”ですから、僕にとっては(笑)」と独特の表現でスピルバーグ監督への憧れを語った山崎監督。

続けてスピルバーグ監督が『ゴジラ-1.0』を3回観ていることが明かされるとスタジオからは驚きの声が。「だって僕、(スピルバーグ監督に)会った時に黒いゴジラのフィギュアを持ってたんですけど、すごい欲しそうにしてたんで“要りますか?”っていったら“もちろんおくれ!”と言って。ガチで、本当に欲しかったみたいです。」という驚きのエピソードが明かされた。

そしてゴジラの海外での人気ぶりを聞かれると「いやあ、本当に大スターでしたね。驚くほどの人気で、完全に今回のこと(授賞式)はゴジラに連れて行ってもらったと思ってますけど、すごいスターと一緒に仕事してたんだな、と改めて思いましたね」とゴジラの人気ぶりについて語った。

そして話題は今回『ゴジラ-1.0』が受賞した「視覚効果賞」の話題に。山崎監督が得意とする「VFX」についてさまざまな裏話が明かされた。ゴジラが街を歩くシーンでは破壊される橋や宙に浮く人々などをCGで作成し、ゴジラが動くことで起きる様々な環境の変化を細かく描写。

また、劇中に登場する軍艦のシーンでは実際のセットは船べりのみで、それ以外はCGで作成。リアルとCGを組み合わせる「VFX」という手法が取り入れられている。「VFX」とはビジュアル・エフェクツの略で、コンピューターで実際の映像とCGを加工や合成する技術をのこと。実は今回作品に携わったVFXのスタッフは35人。制作期間は8か月と、大規模なハリウッドに比べ、小規模な体制で制作したという。

撮影時のメーキング映像を見た斉藤慎二は「いや、迫力がすごいですし、ああいった駐車場とか、そういう場所で撮られているとは分かんないですよね」と「VFX」のスゴさに驚いた様子。すると山崎監督が「“山崎組は駐車場さえあれば何とかなる“って(思ってますから)」と語り、スタジオは大爆笑。「毎回、スタッフはまず駐車場を探すことから始まりますから(笑)」と撮影場所として“駐車場”が重要であることを明かした。

続いて今回の撮影で苦労したシーンを聞かれた山崎監督は「水(のシーン)ですね。水はすごくエフェクトが難しいんで。船のシーンは本当に海の上に出て撮影してるんですけど、みんな酔っちゃって。気持ち悪くなってくる中で撮影してたんで、思い出深いシーンになってますね」と撮影時の苦労を語った。

そして、撮影では“ゴジラが存在することを想定して”演技をする役者やエキストラの話題に。「(役者の)リアクションで映画は作られてるんですよね。ゴジラだけじゃ怖くなくて。みんなの演技があって初めてゴジラが怖くなるというのを、改めて感じましたね」と出演者のリアクションのすごさに触れつつも、“大体あの辺にゴジラがありますから”と(出演者には説明してます)と冗談ぽく語る場面も。

また、「エキストラの方たちはゴジラが好きすぎて来てくださってる方々なんで、メチャメチャ演技がうまいんですよ。たぶん、イメージトレーニングをすごいしてるんじゃないかってくらい」と話し、「VFX」だけではない、役者やエキストラの演技力や“ゴジラ愛”によって『ゴジラ-1.0』は成り立っていることも明かされた。

続けて米・ハリウッドとの撮影規模や予算規模の違いについて聞かれた山崎監督は「いつも悔しくなるのは、日本ではかなり高額な予算なんです。だけど、とんちというか、工夫を(スタッフと)やっていくことで最終的な映像が出来上がっていくんで、頭を使う部分を頑張っていかなきゃなと思いますね」と語りつつも「でも制作費も(ハリウッド並みに)上げていかなきゃいけないなと、改めて思いましたね」と気持ちを明かした。

そして今回の受賞について「海外に日本の映画が出ていけるというのは証明できたので、もっと世界を視野に入れた映画っていうのも作っていけると思うんです。そうしたらもっとたくさんお金を使えると思いますし、そういう良いループが描けるといいかなと思っています」と、米・アカデミー賞受賞が日本映画界の躍進のきっかけになることを願った。

その後、VTRでは山崎監督のご家族がインタビュー出演。妹のさつきさんが「お兄ちゃんおめでとう!」と手を振ると、思わず苦笑い。母の菊子さん、父の義助さんからの祝福コメントには「良い親孝行ができて良かったなと思います」と照れ笑いしながら語った。

最後に水卜アナから、次回作や今後の目標について聞かれた山崎監督は、フリップにゴジラのイラストを描く形で回答。そこには『目標を定めない!』の文字が。「目標なんか作っちゃうとそれにとらわれちゃって、自由がきかなくなっちゃうんで、その時々にやりたいことをどんどん突き進んでいけばこんなこと(今回の受賞)になったりするわけなんで。お客さんが楽しんでもらえる映画を作っていって、また良いことがあればいいなと思っています」と語り、今後の目標はあえて持たずに、やりたいことをやっていくつもりであると宣言した。

写真提供:(C)日テレ 

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